TEL QUEL JAPON

リビドーの音階が砂漠に死んだヤギの乳をしぼっていく

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「永遠のゼロ」 百田尚樹作 講談社文庫



if I had to do the same again
I would my friend, Fernando
(FERNANDO by ABBA) Musique avant toutより
「もし同じことをしなければならない時がきたら、
私もまたそうするだろう」
祖国のために命をなくした英霊達に捧げる言葉はこれしかない。
Profile欄の写真はそのささやかな意思表明である。
(以上、2009年7月19日記)
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上は2009年1月12日のエントリーを移動したものです。
(素晴らしいメロディー&歌唱なのだが、私の理解不足か、この歌詞の主語がいまひとつわからない。またClose your eyes.のyourもよく分からない。どなたか教えていただけたら有り難いのですが)

講談社文庫「永遠のゼロ」を読みながら、この動画のことをしきりに思い出した。
「生きて必ず帰る。妻のそばへ、娘の元へ」-涙を流さずにはいられない、男の絆、家族の絆。という帯がまず目に入った。コピーとしたら、0点に近い。「こんなコピーで、読む人がいるのか」と、思わず手にした。ゼロとはゼロ戦のこと。児玉清氏が解説で絶賛しておられる。著者の百田尚樹氏はゼロ戦を書くには若すぎる。しかも分厚い小説だ。あまりフィクションに時間を取られたくない。少し迷ったが児玉清氏を信頼して購入した。
福本和也氏の航空小説のように、読むだけで、操縦感覚を味わえるのかと期待していた。リアリスティックな空中戦がかなり続くが、パイロットの腕がよすぎて、ついてゆけない。想像を絶する超人パイロットなのだ。前半はゼロ戦の性能のよさと日本人パイロットのレベルの高さばかりが強調される。児玉氏の指摘する号泣するほどの感動がなかなか出てこない。帯のコピーが頭にあるから、脱走兵になるか、反戦活動するために地下に潜るのか、という不安もある。後ろから読むことにした。
「プロローグ」と「エピローグ」の内容と配置に脱帽した。そして後半部の人物描写・ストーリーの展開にも唸ってしまった。姉と弟が若くして死んだ実祖父の人生をたずね歩く、という設定もよく出来ている。テーマという点から、私がよく書いてくれたと感謝して選びたいのは、第九章、カミカゼアタックだ。しかしこれがこの本のテーマかどうかは分からない。長い時間をかけて全部読み通して、作者のテーマが、視点が、最後まで鮮明にならなかった。いや、テーマはやはり帯にあるように「男の妻子に対する愛」なのだろう。国に対する想いはどこにもかかれていない。作者の年齢からすると、書きようが無いのだろう。むしろそれを否定することが、テーマだったのかもしれない。
それでも、この本が多くの人に読まれることを望みたい。実体験者の話を聞くという筋の運びなのだが、それらしく日本の戦った太平洋戦争が資料に基づいてよく書けている。もうひとつはその設定だ。これを読んで、この設定のように今年の夏、多くの日本人が顔もしらない祖父たちの戦った戦争を、その祖父の人生をこの小説の姉と弟のように、訪ね歩いて調べることをしてくれたらどんなにいいかと思う。その結果、家族の絆は深まるだろうし、その行為は、人生の悩みにも何かを示してくれるだろう。声高に叫ばなくても、国家とは何か、昔の人はどう生きたのか、そしてまた日本の未来はどうあるべきか、少しだけ、けれどもその本質の部分をそっと開示してくれるだろう。
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追記:2009年7月26日
第九章「カミカゼアタック」を再度読みかけて、武田という人物の中に、ふとある方を思い出した。戦後の経済復興の第一線で仕事をし、その分野で人に知られるようになった元特攻隊員。長身でダンディー。念のために後ろの主要参考文献のペイジを見たらその方(森本忠夫氏)の著「特攻」が記載されていた。
私は昔2年ほど小さな貿易会社でコレポンを担当していたが、そのときの社長N氏が(と言っても、他には社長の兄がいるだけの3人の会社だった)特攻隊以来の森本氏の親友だった。私の記憶に間違いが無ければだが、N氏と森本氏と中国で捕虜になり、二人で脱走したというスリリングな話を聞いた事がある。ペレストロイカの頃、突然ソ連の専門家としてTVに出演されるようになるが、その少し前、ロシア経済に関する文章を雑誌などに盛んに書かれている頃、私も小説を発表したりプロペラ機に乗ったりしていたからか、社長のN氏が「よかったら、一席もうけて、森本氏を紹介しよう」と声をかけて下さった。森本氏の専門書はとても歯が立たなくて、紹介されても話について行けないからと、遊び呆けていた私はせっかくのチャンスを断ってしまった。特攻のことも、崩壊前のソ連の内部も、国際経済のことも、お会いしてしっかり聞いておけばよかった。これならどうだと、N氏が一冊の森本氏の単行本を差し出された。意外なことにその専門書の巻頭には、死んでいった仲間の特攻隊員たちに捧げる、愛と情熱がほとばしるような詩作品が躍動していた。(「FERNANDO」 again)
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追記:2009年7月27日
森本忠夫氏をnet上であたってみた。森本氏のことを東レを引っ張る現役企業戦士兼ロシア通の経済評論家だとばかり思っていたが、それは過去のことで、今はどちらかと言うと太平洋戦争戦史研究家なのだということに、初めて気付いた。上に「作者のテーマが、視点が、最後まで鮮明にならなかった。」と書いているが、森本氏の資料を読むと、テーマがよく分かる。「永遠のゼロ」の根幹は、森本氏の著作そのもので、これは小説化された、森本氏の「特攻論」だと思った。
If I had to do the same again, I would ,my friends,...等と歌っていたら、あの巨大な森本氏に張り倒される、と言うことにも気付いてしまった!ガビーン!森本氏には亡くなった多くのパイロット達への深い連帯感と熱情があるからこそ、作戦としての特攻がどうしても許せないのだ。人命軽視の、闘い敗れた大日本帝国に対する、鋭い分析に基づいた大批判が展開する。
「国家有事の際には、特攻の後に続く」と言う想いから、飛行機の操縦訓練を開始した私を見て、元特攻隊員の社長のN氏が「これは、危ない」と察知し「森本氏と対峙させなければ」と思われたのが、例の「幻の一席」に繋がった、ということが分かる。
参照:森本忠夫on the web No.1
参照:森本忠夫on the web No.2
参照:森本忠夫on the web No.3
参照:森本忠夫on the web No.4
N社長の葬儀の時にちらりとお顔を拝見した。それだけだ。データーと数字を縦横無尽に活用した高度な分析的経済論は、近寄りがたいだけでなく、なにかしら違和感があった。森本氏の特攻論も、あたかも企業経営分析のように数字が何よりも明確に論理を構築する。「永遠のゼロ」の中の森本発言と思われるものに、反論する気持ちは全く無い。事実に基づいているからだ。人命軽視だけでなく軍隊と言う組織そのものも、矛盾だらけで、作戦も場当たり的で稚拙だ。けれどもそれは、データーと数字があるからこそ、今になってわかると言うものではないだろうか。経営工学のような戦史分析が明らかにするのは、後の祭りの事実でしかない。全体を把握し、ゲイムプレイヤーのようにすべての駒を自在に動かせる司令官など存在し得なかった。出撃を命じた上官殿も、命じられた特攻隊員も、時代と場所と、その閉じ込められた風景の中の、小さな部分でしかなかったのではないか。命令系統の中の個人に対し名指しで憎悪を向けるのは間違ってはいないか?戦闘行為の中に於いては、個は埋没しているのだ。しかし。
若い命を無意味に死に向かわせる、特に特攻隊末期の現状の中で「こんな国などいっそ滅びてしまえ!」と言う叫びが小説の中でこだまするシーンがある。これが森本氏の叫びだとして、私はそれに反論するつもりは全く無い。大きなテーマだと思う。

森本氏に関しては、氏の特攻論及び百田氏の「永遠のゼロ」の及ぶ範囲に限定しています。彼の他の著作、及び特攻体験から波及したと思える太平洋戦争解釈は、別の機会に時間があれば触れたいと思っています。今森本氏の「貧国強兵ー特攻への道」を手にしていますが、今書き出すと大事(おおごと)になりそうなので。
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参照:Tel Quel Japon過去記事:
ガダルカナルの激戦 Film&資料

百田尚樹さんが語る 永遠のゼロ You Tube

・・・・・追記:2011年4月22日・・・・・
「永遠のゼロ」の人気に驚いている。これだけ古い記事なのに、この記事へのヒットが最近一番多いような気がする。

・・・・・追記:2011年11月13日・・・・・
最近でもやはり引き続きこの記事へのヒットが一番多い。
そこで、誇り~伝えよう日本のあゆみ~をここにリンクすることにしました。初めて日本の近現代史に興味をもった若者たちに心を込めて贈ります。誇り~伝えよう日本のあゆみ~この国に生まれて

・・・・・追記:2012年7月24日・・・・・
Japanese kamikaze squad (WW2) "Tokkotai"
【靖国神社】特攻隊員の遺書【太平洋戦争】

テーマ:戦争 - ジャンル:政治・経済

コメント

私は、昨日永遠の0を読み終えました。
戦争もしらず、特攻隊といえば重いな~と思い。
買ったことを少し後悔していたのですが、読み出して引き込まれてしまい。読み終わった時に、自分ももう少しちゃんと頑張ってみよう、この時代の人達の苦労に比べたら、自分なんて何してるんだろう?と思いました。
感動しました。

  • 2011/09/02(金) 13:25:28 |
  • URL |
  • seisasann #-
  • [ 編集 ]

感想ありがとうございました

「永遠のゼロ」に関する記事へのヒットが最近一番多いのですが、このようにコメントを書いてくださる方は、初めてでした。ありがとうございます。
感動しました、ありがとうございました、というメイルは届くのですが、私は作者ではないので、残念ながらコメントにしか対応できません。
またこの本の映画化を希望している方も、次第に増えていっている筈で、私もその一人です。
国のために戦った日本人、日本女性を守った日本男児、ここには歴史解釈から排除されていた大日本帝国国民の行為が精神が視点が描かれているからこそ、歴史認識を問わず感動を呼ぶのだと思います。

  • 2011/09/03(土) 05:36:15 |
  • URL |
  • Bruxelles #qXcWIg3k
  • [ 編集 ]

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