TEL QUEL JAPON

リビドーの音階が砂漠に死んだヤギの乳をしぼっていく

「Will」2月号秦郁彦氏の文章に触れて

「Will」2月号秦郁彦氏の「陰謀史観のトリックを暴く」について。

前ペイジで触れた秦氏の文章について具体的感想を書くことにする。
恐ろしく挑発的なタイトルは販売拡大の編集部の意図とも思えるが、まず陰謀史観と言う言葉に強い不快感を覚える。白日にさらされた戦略は最早陰謀でも陰謀史観でもないと思っている。ユダヤの陰謀やフリーメースンの陰謀などと、同列に扱かおうとする意図が見え見えではないか。

1.P.188
こうした場面では主張の是非はともかく「世間をお騒がせしたことはお詫びします」と頭をさげるのだが、彼はその流儀に従わなかった。
1.感想
主張の是非はともあれ、が納得できない。秦氏は平気でこう書く人なのだろうか。

2.P.188
ただし「わが国が侵略国家だったなどと言うのはまさに濡れ衣」との持論を立証するために、田母神氏がコミンテルンの陰謀なるものをずらずらと並べ立てたのには感心しない。
2.感想
「わが国が侵略国家だったなどと言うのはまさに濡れ衣」との持論を立証するために、・・・ではない。コミンテルンの存在・機能が一般書や教科書の次元であまりにも伏せられているから、明らかにされただけだ。仮に陰謀に乗せられた結果であっても、行為自体が侵略ならば、侵略であることに変りはない。田母神氏にはそのことはわかっているのだが。果たして秦氏は?

3.P.189
では、だました方が悪人でだまされたのは善人とすれば、二重のワナにはめられた日本は冤罪されるのに必要で充分な条件を獲得したのだろうか。
3.感想
誰がそんな議論をしているのですか。「だまされるのが善人」などと、どこに書かれていますか?秦氏の文章は完全に上滑りしている。

4.P.190
もし「仮敵国」側の政府か歴史家から具体的に反論されて、グーの音も出ないのでは国益を損じかねない。心すべきことだろう。
4.もし反論されて、という「もし」の可能性だけで、言論を封じるおつもりだろうか?

5.P.191
別表ーコミンテルンの「陰謀諸説」 1~9
5.感想
秦氏の意見と秦氏の参考文献があるだけで、本文にも「暴く」等という次元のことは書かれていない。秦氏がそう思われているだけだ。たとえば1.に関して、首謀者は関東軍の河本大作であることが確定的(99%)とあるが、私も中西氏同様、河本犯人説は確定していないと考えている。秦氏の推論だけが証拠とはならない。たとえば4.に関して「証拠が無い」(80%)とは言え「完全否定する証拠も無い」以上、さらなる検証・議論があってしかるべきだ。

6.P.194
「蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた」と形容するのは「泣き言」にもならないのではないか。
6.感想
その部分は前に説明があって、全部を要約するとと言う言い換え部分である。つまり要約するとそうとも言えると田母神氏は書いておられるのであって、そこだけ取り出すと、誰が書いたとしても飛躍した文章に見えてしまう。

7.P191 別表ー「陰謀諸説」7
7.感想
私自身フライイング・タイガースを調べてみて確かにおっしゃるとおり、事実確認できなかった。改めて田母神氏の文章を読んでみた。
「真珠湾攻撃に先立つ一ヵ月半も前から、中国大陸においてアメリカは日本に対し、隠密に航空攻撃を開始していたのである」とある。
この文章を秦氏は「真珠湾攻撃の一ヵ月半前から、日本に航空攻撃を開始していた」と解され、そんな事実はない(100%)とされた。これは校正の問題だ。「中国大陸において隠密に、日本に対し航空攻撃を開始する」ことなどありえない。日本に対し航空攻撃(準備)を開始していた、とするのが校正の出来た文章だ。ここは秦氏のあげ足取り。参照:1941年 幻の東京空爆計画The Flying Tigers:
追記: 2009年1月17日 秦氏へ 動かぬ証拠を発見! 
1941年晩夏から米軍は日本に対して戦闘態勢に入っている


8.P.191 別表ー「陰謀諸説」-5
8.感想
これに関しては再度ここにリンクを貼っておく。
参照:An Interview with Admiral Kimmel
学問的には否定されている(98%)と秦氏は書いておられるが、これはアメリカでも識者の間ではすでに常識とされていることだと思うのだが。参照:日米開戦の真相

9.P.191 別表ー「陰謀諸説」-6&P.196
「ハル・ノートは間違いなく国務省極東部で作られたものであり、ソ連製ではなく」・・・
9.感想
魚屋で饅頭が買えないのと同じくらい当たり前のことだ。問題は誰が知恵をつけたかということだ。ホワイトは起草者ではないと言う秦氏のコメントは正しい(ホワイトの名が表面に出るわけが無い)。がここでは誰が書いたかではなく、誰が後ろで糸を引いたかが重要なのだ。ホワイトはどのようなポジションにいて、ゆえに状況から判断してノートを起草した張本人であると言われている、と田母神氏は書いておられるだけなのだ。それに対しては「ノートを起草した張本人であるなどと言う話は一度も聞いたことが無いし、またそんなポジションにもいなかった、ありえない」とするのがまっとうな反論ではないだろうか。

別表が9項目からなっていたので、数を合わせて9つの感想を書いてみた。
・・・・・・・・・

昨夜3時間を越える大変興味ある放送に偶然出くわした。非常に新鮮な視点だと感じたのでリンクします。ここではアメリカ人でさえ戦勝国の勝手な裁判を否定しているし、真珠湾はそのようにアメリカ側が仕向けたと当然のことのように言っている。Mark Weber-July 13, 2008-The Political Cesspool
この番組はPatrick J. Buchanan氏のこの本、とNicholson Baker氏の「Human Smoke: The Beginnings of World War II, the End of Civilization」が話題の中心になっている。そしてこちらはこの本に関するNicholson Baker氏のインタビュー。Nicholson Baker Q&A: この2冊の本を紹介しているペイジ
少し古い書籍になるがAlbert C. Wedemeyer氏のWedemeyer Reports!, 1958.も追加紹介しておくことにする。
参照:Albert C. Wedemeyer その1: その2: その3
参照:第二次大戦に勝者なし(上) : 第二次大戦に勝者なし(下) :
参照:この本の図書情報
ここに紹介した3冊は、入り方は異なるが根底で通じるものがある。Remember Pearl Harborや「悪の枢軸」等と言う語に込められていると思われるニュアンスはすべての本の中で息絶えている。多くのアメリカ人多くの日本人にこそ読んでいただきたい書物だ。
・・・・・・・・・・

ー追記:2009年1月12日ー
主旨を同じくする以下のBlog PageにTrackbackさせていただきました。
あすなろおじさんのつぶやき : 陰謀史観?
いすけ屋の戯言 : WiLL2月号秦反論の反論 :
ー追記:2009年1月13日ー
主旨を同じくする以下のBlog PageにTrackbackさせていただきました。
新・木庵先生の独り言:田母神俊雄擁護論(朝日新聞糾弾)#7
日本再生研究会SC ソ連スパイの秘密交信を解読するー1

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

  • 2009/03/10(火) 12:22:43 |
  • |
  • #
  • [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://goodlucktimes.blog50.fc2.com/tb.php/88-2767f3c9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad