TEL QUEL JAPON

リビドーの音階が砂漠に死んだヤギの乳をしぼっていく

ちいさいおうち 中島京子 (1)Doolitle Raid

「ちいさいおうち」by 中島京子。小説ですがお勧めです。
多分ほかの読者とは全然違う読み方をしていると自分で感じていますが、この小説には昭和の戦争の10年あまりの暮らしが実に淡々と書かれています。「永遠のゼロ」のような感動はありませんが、ユーモアがあって何度か声に出して笑ってしまいました。この視点で書いてくださった中島京子さんに「感謝、そして脱帽」です。拡散希望です。書かれているのは東京のちいさなおうちでのごくありふれた非常にリアリティーのある淡々とした日常なのですが、その日常の中に歴史がきっちり書かれているのです。
まず感心したのはDoolitle Raid つまり東京初空襲が詳しく書き込まれていることです。
参照:Tel Quel Japon過去記事 & Doolitle Raid:
また1943年7月に東京府と東京市が一緒になって東京都が誕生した(P.229)ことも書き込まれていました。恥ずかしいはなしですが、昭和18年まで東京が府だったとは知りませんでした。
書店で出会うまでこの作品のことを全く知らなかったのですが、これは直木賞受賞作で山田洋次監督による映画化も決定しているようです。
・・・・・(書き込まれた歴史に関して、つづく)・・・・・

・・・・・追記:2012年12月10日・・・・・
参照:東京空襲
参照:戦争末期の本土空爆
こういう視点で撮影されたfilmを見たのは初めてだ。
空爆中の米人パイロットの視点と、日本人の日常の破綻が同じフィルムに内蔵されている。
・・・・・
この物語はちいさなおうちの女中さんの回想記が大半を占めるので、歴史解釈は一切なく従って何の偏見もない。戦争批判や自虐史観が排除され、これまでの、たとえば「少年H」のように、小賢しくないところが最大の魅力だ。学歴はないが並みの学者より体も頭もてきぱきと回転し、あらゆる意味で政治的立場に立つ必要がない。従って個人的回想でありながら歴史を日常生活の中に極めて正しく組み込み記述することができるわけだ。
上にB29による空爆のfilmを置いたが、ちいさなおうちの主である夫と妻はこの空爆で命を落とす。何も知らないで女中のタキさんは山形で疎開児童のお世話をしている。知るのはずっと後なのだ。

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